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『集計完了。発動魔法名『高速機動(アクセル)』 MP(魔力)5000、MS(魔法発動速度)1.9s、MW(魔法有効範囲)半径10m、判定ランクCです』
(ダメダメだな…)
プリクラの様な機械に片手を当てていた少年は深く溜め息を吐いた。
機械のスイッチを切って、そのままベッドへと倒れた。
(まったくもって最悪だ……)
ベットの上をゴロゴロと転がりながら自己嫌悪をしていると、ノックも無しにいきなりドアが開かれた。
「姉さん、入るときはノックしてくれよ」
少年は顔をシーツに押し付けたままドアを見ずに言う。
「あら、やましい事でもしてたのかしら?」
「してねぇよ。してたのは自己嫌悪だし。てか、人の部屋に入る前にノックするのは常識だろうが」
「もちろん裕也以外にはしっかりとノックしてるわよ。でも裕也にはノックしても意味ないでしょ?」
それもそうかと少年は自身の能力を思い出しながら体を起こして姉──鈴科英里──の方を見た。
「まあ、ノックせずに入ったことは謝るわ。………何よその顔は」
「いや、いつもより素直だなと思ってな」
「感想は?」
「フッ…」
「鼻で笑ったわね」
怒りで右手をブルブルと震わせている姉を裕也は興味無さそうに──いや、そもそも興味はない──見つめる。
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