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「彼方って言うのか。ってお前まだガキじゃないか。しょうがねぇな…家、近くなんだろ?送って行ってやるよ。」
高木さんはそういうと一瞬路地に目をやったが、僕の家の方面を確認すると歩き出した。僕は追いかけるように、後ろについて行った。
「高木さんって、変わっていますね。知らない子供に話かけたら、不審者呼ばわりされて警察呼ばれていますよ。」
変わっているのは僕も一緒。初めて会った人に家まで送ってもらっているのだから。高木さんのななめ後ろから話しかける。
「さっきまで怯えていたガキとは思えないな。それから高木じゃなくて誠って呼べ。なんか気持ちわりぃ。」
普段呼ばれ慣れていないらしく、苗字で呼ばれると鳥肌が立つらしい。年上だからそう呼んだが、どうやら誠さんはそういうのを気にしない人みたいだ。
「なんで助けると聞いたな?アレがみえてアレに怯えていたからだ。怯えるという事はそれだけ感じ、みることができるから。」
アレと言われて、心臓が一瞬止まるかと思った。さっきの気配は今まで感じた中でも禍々しく怖いと思ってしまう程だった。
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