終焉

63/80
3301人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
「わかんなくてい」 ――今は。 そう、しわくちゃにした顔が久しぶりに緩んだのがわかった ――お前が来てくれて、良かった パタンと扉を閉めた瞬間、胸の奥底から高ぶりが身体全体に広がって 背をつけた扉をつたってそのまま床に崩れ落ちた 誰にも必要とされてこなかった だから、このまま一人でこの世界から消えてしまうのもいいと思ってた 怖いのに なにも残せなかった、人生が ガン、ガン!と、背中に衝撃が何度も響く 七瀬が力任せに扉を叩いているその振動は、――七瀬の感情全てが伝わってきて 不思議と俺の心を温めた
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!