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椅子に座らせられて、後ろ手に縛られた姿勢から動けない湊は、たまらず唯一自由のきく頭をのけぞらせた。
「あぁ、やっぱり。
舐められるのが、いいんだな。」
今まで聞いたこともないような、欲をにじませた男の声がする。
自分の知っている篠田はいつも余裕で、こんなに強く欲をのせた声など、だす男ではなかったはずなのに。
やがてその手は、二つの突起を探り当てると、サワサワと羽でなでるように柔らかく触れた。
撫で、さすり。
触れたかと思うと、フワリと離れる。
その柔らかいあまやかな刺激に耐えられず、湊は硬く閉じた口内で低く唸る。
それはまるで猫が喉をならすかのように、静かな室内に響いて。
背後から満足げに小さく笑われ、羞恥に頬が紅くなるのが、自分でも分かった。
うつむいたまま顔を上げられず、頭をふる。
その無防備に晒されたままだった首筋を、ベロリと容赦なく篠田になめあげられる。
耐えきれず身体をそらした湊の頭が、真後ろから密着していた篠田の肩にすりつけられるかのように、触れた。
瞳の端に映った篠田の目が、暗闇の中で、光ったような気がした。
突然。
パチンと音がして、ライトがつけられた。
明るさになれた目なら、柔らかな灯りにうつるはずの間接照明が、暗闇になれた目には眩しく、湊は目を細めた。
「湊、、、前を見ろ。」
ふいに、耳許でかけられた声にまたゾクリと、震えがはしった。
言われた意味が分からず、顔をあげボンヤリと前を見た湊は、やがて焦点のあった光景に絶句する。
湊が座らされた椅子の正面には、大きな鏡が置いてあり、そこには後ろ手に縛られ、両足も椅子の足にそれぞれ固定された自分の姿が写っていた。
着ていたシャツははだけられ、ズボンのベルトもいつの間にか外されている。
与えられた愛撫に肌はほてり、素肌にうっすらと浮かんだ汗が柔らかな明かりに照らされて光を反射していて、やけに扇情的だ。
首筋には、先程つけられたばかりの赤い痕が散っている。
あまりにあられもない姿に、思わず顔を背けると、篠田から前を向くよう頭も固定される。
「篠田、、、やめてくれ、、、」
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