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「残念だな。
お仕置き、して欲しかったのに。」
艶やかに笑う新堂の唇に、そっと原西の指が触れる。
その指を優しく頬にずらし、そのまま耳の後ろへと滑らせる。
官能的な動きに、新堂の口から熱い吐息が漏れた。
「要を抱くのに、他の男を理由になんてしませんよ。
抱かれたいなら、好きなだけ犯してあげます。
試さなくても、大丈夫ですよ。」
諭すように、原西が人指し指で耳元から鎖骨までを緩やかに撫で下ろす。
「、、、ズルい。」
小さく口を尖らせて、新堂が呟いた。
原西が笑って、新堂の手を引く。
「帰りますよ?」
子供のように頷いて、手を引かれ、守られながら家にかえった。
どうあがいても原西に勝てない。
甘い敗北が悔しいけれどむず痒く。
今日もまた恋に堕ちていく。
降り続く雨のように。
家に帰った新堂が、眠りに落ちるまで繰り返し原西にねだったのは、いうまでもない。
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