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「好きだ。湊。」
篠田がうわごとのように囁く。
打ち付けるリズムにあせて、そう何度も繰り返し囁かれる。
その度に、身体と魂を同時に浸食されて湊の全てが震える。
熔けきった内部は篠田に絡みつき、混ざりあってグチャグチャに解されて僅かな摩擦も逃さずに、鋭敏に神経に快楽を伝える。
大きく腰を引かれて、抜き出された篠田を求めて蠢いた。ギリギリまで引かれた篠田が濡れた内部に再度押し入いってくる。
そのまま勢いをつけて飛ばされて、真っ白になって、何もかも手放した。
パチリと、自分の目が開く音が聞こえた。
今しがた見た、自分の夢に冷や汗が背中を伝う。
余りにも生々しくて、感じた匂いさえ思い出せる。
口に片手を被せ、鳴り響く動悸が落ち着くのを待った。
篠田とセックスしていた。
夢の中で喜びに震え、篠田を求めた。
「、、、最悪。」
口元に被せていた手から、呟くような声がもれた。
気づいてしまった自分の気持ち。
好きだったのだ。
篠田の事がずっと。
驚きよりも納得で。
昨日、感じたあり得ないほど強い気持ちは独占欲だったのだ。
そう解れば何もかもかもが腑におちる。
「俺、馬鹿だよなぁ。」
ポツリと、明けていく窓の空を眺めながら呟いた。
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