crazy for you

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冷たいタオルを額に充てられて、閉じていた目を開けた。 いつの間にか宿の浴衣を着せられて、冷たい畳の上に寝かせられている。 腹の上に置かれた大きなバスタオルに、本当マメだよなと、クスリと笑う。 目を覚ました俺に気がついた篠田は、冷蔵庫からペットボトルを取り出して、横になったままの俺に手渡した。 この甲斐甲斐しさには、何時までたっても馴れない。 普段は、面倒くさがりで。 亭主関白なイメージの強い篠田の意外な一面だ。 カップスいちの俺様キャラと名高い篠田のこんな姿を見たら、チームメイトは腰を抜かしかねない。 一人ニヤツク俺を見て、篠田も不思議そうだがどこか嬉しげだ。 近寄ってきて、俺の隣に座ると。 今度こそニコニコと満面の笑みで俺の頭を撫でた。 「機嫌がいいな。」 何度も頭を撫でながら呟かれた言葉に、頷くと眩しそうに目を細められた。 小さく、そうか。と満足そうに呟かれて俺まで嬉しくなる。 旅行はまだ始まったばかりだ。 これからを思って微笑むと、柔らかな口づけが落ちてきて、落ち葉のようだと頬が緩む。 どうか。この時がずっと続きますように。 心の底から祈りを捧げて、篠田の襟を引き寄せた。
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