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「これは、なに?」
予告どおり23日に届けられた荷物を見て、要が俺を振り返った。
明らかにスーツだけではない、玄関に積み上げられた荷物の山を見上げて、俺も言葉を失う。
小高い山となった箱を開けていくと、スーツは勿論。
靴からカフスにいたる小物類までペアで贈られていた。
しかも、片方を単品でみた時には気がつかないようなこり方で、全てがペアになっている。
「いつの間に兄さんにあってたの?」
広げられた衣装をみながら、若干あきれぎみにされた質問に、2週間前の出来事を白状すれば、黙ったまま片方の眉をあげられた。
要の機嫌が急降下する合図に、内心ヒヤリとするが、直ぐに思案深げに荷物の山に目をやられてホッとする。
「これは、また随分と挑戦的な組み合わせだねぇ。」
そう言いながら、リビングに戻る要の後をおっていくと、急にクルリと振り向かれた。
「今回は、僕も衣装の件を内緒にしてたから許すけど。
次に他の誰かに、君の洋服をあつらえさせたら、許さないから。」
怒ったように念を押されて、面くらった。
そのままリビングを抜けた要は、寝室のクローゼットから布バックにいれられたスーツをだしてきて俺に渡す。
「本当は明日はこっちを着てもらおうと思ってたけど、兄さんの用意してくれた服のほうが面白そうだし。
今回はのっちゃおうか。」
滅多にみれない悪戯っ子みたいな微笑みに、訳もわからずただ頷いた。
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