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勢いをつけて立ち上がると、そのままソファに座り込んだ。
立ち上がる過程で、片腕を要の脇に巻き付けて膝の間に持ち上げながら、空いた足でズボンを引っ掻けてシワにならないように片手で受けてソファの背にかける。
「器用だねぇ。」
関心したように茶化す要の肩に顎をのせて、逃げられないように両腕を巻き付けた。
しばらくそのままの姿勢でジッとしていると、要が体重をのせながら見上げてきた。
「クリスマスのこと、兄からなにか聞いた?」
要の珍しく弱気な声に、イイエと首をふる。
「覚悟を決めろとはいわれましたが。」
まさか恋人ですとは紹介されないだろうが、想い人の両親に初めてあうとなれば至極当然なエールを思い出して口にすれば、要が笑った。
「両親は心配いらないよ。
元々、子供に会社や財産を渡すのは良くないって考えてる人達だから。
多分、君の事を僕の彼ですって紹介しても笑ってると思うよ?
問題は親戚のオジサマ方だね。
家と財産を遺すことにしか興味のない御仁が少なからずいるから。
あの兄にさえ、種が残ってるなら婿に来いって平然と言えるような人が当たり前みたいにいるからね。」
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