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そんなに驚くことないと思うけど、となかば呆れたように呟きながら、要の手がはだけたままのシャツから侵入してきて、肌を滑る。
「分かってるのかなぁ。
君は周りを固められて、逃げられないように閉じ込められかけているのに。
このままだと、いつか君が嫌だと思っても。
僕から離れられなくされるよ?」
熱心に肌を撫でながら自戒するように呟く要のシャツに手を伸ばしボタンを外す。
「要の側にいれるのに、嫌がったりするわけないじゃないですか。」
与えられる刺激を受け入れながら、目を細めた要が小さく「今はね。」と呟いた。
わななく睫毛に浮かんだ微かな苦悩を、ゆっくりと撫でて溶かす。
「なにが、不安なんです?」
額から差し込んだ指先を後頭部にまわして首筋をたどる。
しなやかな骨にそって撫でる手に身をまかせながら、身体をふるわせて笑う恋人を宥める。
「なにも。
言うなれば、身から出た錆びって感じかな。
君が僕を好きだと想うのは、僕がそう仕向けたからかもしれないよ?」
熱い眼差しに捕らえられて、肌を滑る手が止められない。
口づけたいが、交わされた眼差しを外したくない。
コツンと額を逢わせて至近距離で見つめながら、ユックリと伸ばした手のひらで頬をなでる。
「愚問ですね。
自覚する時期の違いだけで、要がどう出ようと俺は惚れてた気がしますがね。」
至極当然の答えを返すと、呆れたように笑われる。
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