サイレント・ナイト

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攻めているのは自分なのに、吐き出される吐息や、触れた手に伝わる熱に煽られて追い詰められていく。 大きな手のひらで包み込んで、もみこむように緩急をつけて抜いて、熱を高める。 甘い声と共に吐き出された熱に、暴走しそうだった己を押さえられたことにホッと息を吐いて、中途半端に脱がしていたシャツを要の腕から抜き取った。 自分でほぐそうとして、後ろに伸ばした要の手を取って首をふる。 「明日は、立ちっぱなしですから。」 無言でかえされた問いに答えれば、小さくため息をつかれたが、了解したとばかりに抱きつかれてなだめるようにその背をなでた。 腕の中の恋人を抱き締めて、髪に顔を埋めて息をすえば、どこか甘い要の体臭にホッと息を吐く。 のびてきた要の手を受け入れて、優しく追い上げられて抱き締める腕に力を込めた。 「明日、帰ってきたら襲うからね。」 追われながら、宣言された内容に喉を鳴らして笑うと、思いの外妖艶に微笑まれる。 腕の中の幸福に酔いしれていると、すぐに波にさらわれて、ゆるやかな解放感に満たされた。
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