サイレント・ナイト

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今は身体をつなぐよりも、大事な話をしたいのに。 頭に血がのぼりすぎて、上手く思考が働かずに焦るが、身体は頭と別の生き物のように動いていて、止められない。 「我慢のしすぎだよ。」 痛みさえ感じてもおかしくない粗雑な俺の愛撫に、文句も言わずに要がそっと身を投げ出す。 荒すぎる行為を止められないなら、せめて感じさせたいと思うのに、一片の余裕もなくて止められない。 生け贄のように捧げられた肢体を、ただ欲望のままに求めた。 熱すぎて、頭がクラクラする。 自らズボンを脱いだ要が、手に取ったクリームを奪い取り、引き破るようにひねり出して塗りつける。 そのまま、僅かにのこった理性で指を入れようとした俺の手をとった要が、小さく首をふった。 「いいから、おいで。」 立ち上がった雄に、直接あてられて腰を揺らされた。じらすように擦られて思わず唸る。 強すぎる刺激に、目が眩んだ。 「効いてないかと思ったよ。」 優しく髪を撫でられて、眉を寄せた。 ただ撫でられただけなのに、痺れるように感じる。 言葉を口にのせることさえできず、短く浅い呼吸をくりかえす。 再度かけようとしたブレーキをはずされて、タガが外れた。 要の肩を押さえつけ、本能のままに腰に力を入れ推し進める。 小さく息を呑む音が聞こえて、要の眉が寄ったのが目のはしに映るが、切り裂く力を止められず。肌同士が密着するまで一気に貫いた。
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