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焦って抱き寄せると、力なく寄りかかりながら睨まれた。
暴走して無茶をした。なんといって謝ればいいかと躊躇した俺を見上げながら
「信じられない。」
要が悔しそうに呟いたのを聞いて、固まる。
「君、今まで手加減してたね?!」
勢いよく顔をあげて立ち上がりかけたかと思うと、腰を押さえて呻きながらソファに突っ伏した。
予想外の方向に怒られて、とまどった俺のシャツを引っ張って、キスをしてきた要の身体をできるだけ優しく抱きよせた。
「大丈夫ですか?」
無言で眉をよせた要の額に、張り付いた髪を撫でて剥がす。
「それは、僕の台詞のはずだったんだけど。」
ジットリと悔しそうににらまれて、怒ってはいない様子にソッと息をはいた。
「すいませんでした。」
汗ばんだ肩を抱いて、抱き寄せるとだまったまま胸元に顔を埋められた。
いつになく可愛らしい動作に、無意識に頬が緩む。
無防備に身体を預けられて、思わずギュッと抱き締めた。
先程まで、艶やかに色を発して喘いでいたのが嘘のように清々しい顔をして俺を見あげる瞳に引き寄せられるようにキスを落とす。
まだ上気したままの頬が、紅く染まっていて愛らしい。
「君と居ると、初めて経験することが多くて心臓がもたないよ。」
悔しそうに呟かれて、驚きに身を起こした。
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