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「あら。
聡司さんは、もうお帰りなの?」
白い大理石の上を、カッカッと鋭い音を立てながら威嚇でもするかの如く胸を張った透が近づいてきた。
嫌な奴に、不味いところであった。
俺が要に手を出してからというもの、三つ年下の従兄弟はなにかというと、チクチクと俺を攻撃してくる。
全くもって、可愛くない。
男だけでなく、女だってそれなりのレベルなら触手を刺激される俺が、世界で唯一コイツだけはないと断言できる貴重な相手だ。
その分、気楽といえば聞こえはよいが。
うっかりしていると、とんでもない目にあわされて。
それを遠く離れた場所で眺めながら、満足げに笑われるという、トラウマになりかねない所業で陥れられたりする。
小さな頃は、天使のようなという形容詞が相応しかった要が。
いつの間にか随分と捻りの効いた性格に育ったのは、コイツが側にいたからに違いない。
昔は、まだ透もまともで。
コロコロと笑いあう二人は、俺達従兄弟のアイドルだったのに。
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