サイレント・ナイト

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「そういえば、お前のとこに原西の坊やが顔をだしたら、しっかり教育してやれよ。 アイツ、じいさんから注がれたシャンパンを一気のみしやがったぞ?」 先程、原西にかけた言葉を思い出した。 ついでとばかりに口にした俺の言葉に、驚いた透が目を見開く。 「なに? 心境の変化でもあったわけ?」 いましがたまで纏っていた険は消え去り、困惑した表情で透が近づいてくる。 威嚇もされずに、コイツが近づいくるなんて、今夜は吹雪になりそうだ。 「あんなの放置してたら、あぶないだろ?」 ニヤリと笑い返せば、微妙な顔をされる。 ここ数年、見ることのなかった様子に懐かしささえ感じた。 「それは、確かに同感だけど。 やぁね。 原西君ってば、本気で年上キラーなのかしら?」 予想外なのは、お父様だけでお腹一杯なんだけど。と、呟かれて、盛大に眉が寄った。 要になら、いくら欺かされても本望だが。あんな小僧に誰が靡くか。 そんな俺の表情を見て、なにか納得したらしい透が 「いいわ。 なら、一時休戦ということで。 あの二人の邪魔をしないでいてくれるなら、意地悪するのも止めといてあげる。」 艶然と微笑まれて、苦虫を噛み潰す。 「お前のブラコンも大概だよな。」 「あら、兄様には負けましてよ?」
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