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歪んだお前とちがって、俺のは純粋な愛だと胸の内でぼやいたが。
それを口にするような愚かものは、ここにはいない。
賢者は只、口をつぐむ。
幸いなことに。今夜はクリスマスだ。
大事な従兄弟が、少しでも長く幸せに浸れるよう、贈り物をしよう。
敵に塩を贈ることには、いささか不本意だが。
原西の側に、要の幸せがあるなら、今は致しかたない。
やがて要が落ち着いて。
小僧と別れて一人になることがあるなら、駆けつければいい。
そうでないなら、あの寂しがりやの小さな従兄弟が。やっと手にした幸福を見守って過ごす。
それは、どちらに転んでも。俺にとっての幸福には違いない。
聖者になるには、うってつけの夜だ。
遠くから聞こえる讃美歌が、やけにシックリと胸に染みる。
こんなとき、歳を取ったなと実感する。
10代のひたむきさも、20代の情熱も既に手放して久しいが。40代のしぶとさは、あの小僧にはわかるまい。
自嘲気味に上がった口許を見られたくなくて、透に背を向けた。
またなと手をふると、やけに穏やかな瞳で見送られため息がもれる。
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