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仕事モードの時とは、声の深さが違う。
けして大きな声ではないのに、響くように鼓膜をふるわせて、聴いていると心が充たされていくような気がする。
それと同時に、身体は酷く餓えて。厚くて弾力のある胸板や、原西の体臭と混ざった深い森の匂いを思い出して無意識に身震いした。
「あと、7日だっけ?」
別離の日数を数えて、小さく呟く。
出張を命じたのは自分だというのに、自宅で旅支度を整える原西の邪魔をして過ごした1週間前が懐かしい。
あの時は、結局準備にならなくて。
朝までのほとんどの時間を、繋がって過ごした。
いつもより固さをました原西を受け入れて、脈打つ雄を飲み込んだ箇所がジクリと疼く。
回想に浸り、我知らず小さく漏れたため息は、思いの外、色を含んでいた。
「要?」
聞こえないと思った欲望を拾われて、羞恥に頬に血がのぼる。
そんな己の初な反応が予想外で、酷く動揺した。
たかが欲情を電話越しに察せられたくらいで、なぜこんなに気恥ずかしいのか。
原西とは何度も身体を重ねて。口に出せないような行為も散々交わした仲だというのに。
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