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原西は大丈夫だと、解っているのに。
こうして、自分から求めて、答えが出るまでのプレッシャーには滅法弱い。
解っているから、何時も追われるように無意識に言動を選んでいたのに。
最近、どうにもコントロールがきかない。
彼ならきっと大丈夫だと。
甘い期待をして、驚くほど素直に行動してしまう。
まるで小さな子供が、絶対の信頼を親に寄せるように信じきってしまっている自分を自覚してしまっている分、たちが悪い。
信じさせたのは、原西だ。
毎日、事あるごとに愛を告げて。
親にさえ本当には求められなかった僕を、社長でなくとも、年上でも。何者でも構わないと永い時間をかけて現し続けた。
好きとか、愛してるとか。
そんかところを遥かに超えて。
彼が居ないと生きられない。
頭に浮かんだ内容に、顔に血がのぼった。
愚者の極みだ。
やっと、目的地についたタクシーを降りて。
原西から連絡がきていた部屋に、直行する。
エレベーターを降りて、誰もいない廊下を歩く足が。はしたなくも、多少早足になるのを抑えられない。
ベルを鳴らして、原西を待つ。
開かれたドアの向こうから、僕を見つけた原西の顔が輝くのが見えた。
今、この瞬間の。
彼の瞳に溢れる輝きを信じる。
もし何時か、この愛が終わっても。
二人で重ねた月日を、僕は生涯愛するだろう。
僕らは今、永遠の途中にいる。
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