1806人が本棚に入れています
本棚に追加
掌の中で、力を入れすぎて粉々になったかつてサングラスだった物の残骸を眺める。
無意識なのだろうが、最近素直に甘えてくるようになった要の破壊力は凄まじく。
先程も。電話口でなければ、力一杯に抱き寄せて、隙間もないほど密着して要を感じたかった。
気まぐれな猫のように、全身で甘えてきたかと思えば、調子にのるなと釘をさすようにヒラリと身を翻す。
いつまでたっても、手に入れた気がしない。
何時か。楽しかったよと微笑んで、優雅に一礼してさっていきそうな、そんな恐さが要にはある。
愛されているとは思うが、要自身が永遠に続く愛などないと。もし、あったとしても。望んでも、自分には与えられないものだと諦めてしまっているような。
生まれながらに、沢山の贈り物を手にし。その価値も存分に理解しているのに、何処までも孤独な魂も同時に贈られて。
あの美しい人を、世界で一番幸せにしたいのに。
その方法がわからない。
去年の今ごろは。
永遠を誓い。その指に誓いの証を贈りたいと願った。
だが、それだけでは駄目なのだと最近は思う。
俺にとっては大事な事だが。あの人が自分のものだと、あの人を見る全ての人に知らしめて喜ぶのは俺だ。
それよりも先に、要に誰よりも幸福だと感じさせたい。
この命が尽きるまで、続く愛があると信じてもらいたい。
最初のコメントを投稿しよう!