Absence makes the heart grow fonder.

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要とは、もう何度も数えきれないほどの夜を抱き合って過ごした。 それこそ、飽きるほど何度も肌を重ねているというのに、今だに毎回我を忘れて溺れそうになる。 丁寧に解きほぐして、柔らかく開いた門にむけて鍵をそえる。押し進む力に併せて、さらに開かれていく場所が熱を帯びて俺を包みこみ、絞り上げてくる。 紅く染まった目元で、ヒタリと焦点をあわせた眼差しのまま向かい入れる肢体を、堪能する。 淡いブルーのシーツに白い肢体が映えて、海を泳ぐ魚のようだ。 この杭で穿つ間だけは、どこにもいかず俺だけのもの。 ワルツのようにユックリとしたリズムから、タンゴのように跳ねて。 柔らかくならされたバターのように溶けた要を、更に溶かして混ぜて混ざる。 重ねた夜の数だけ、知り尽くした箇所を攻めて。新たに見つけた俺だけが知る場所を花開かせるように丹念に刻み付ける。 上り詰める最中に、かき抱いて混ぜっ返す。 既に音は言葉に成らず。 あふれでた吐息だけが室内をたゆたって濃厚な気配の跡を残すだけだ。
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