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何度も精を吐き出して、グッタリと二人してマットに沈んだ。
時計は既に4時を指していて、後2時間もすれば部屋をでて空港に向かう時間だ。
「流石に、お腹もへったね。」
しばらくすると、汗ばんで濡れた背中を猫のように伸ばしながら、要が笑った。
同意して、立ち上がると。すっかり忘れられていた、応接間に置かれたままだった銀のトレーを取ってきた。
広いベットの上にバスタオルを二つ広げて、真ん中に置く。
まだ歩くのはつらそうな要があまり動かなくてよいように、カバーを開けて、行儀は悪いがベットの上でそのままつまんだ。
「ピクニックみたいだねぇ。」
どこか関心したような様子で、一口サイズにカットされたベーグルサンドを口に運びながら笑う姿が、子供のようで可愛らしい。
思わず微笑んだ俺を見て、不思議そうに首をかしげられた。
「俺は、空中庭園のようだと思いましたよ。」
目前の一面のガラスから覗く地上を見ながら返すと、意外とロマンチストなんだと、笑われた。
愛しき姫君を、慰めるという名目で。他の男の目にふれぬよう。
空中高くにつくった庭園という名の牢獄に閉じこめた男の気持ちがよくわかる。とは、口に出さず。
小さく笑った俺を見て、足の間に要が座った。
そのまま背中を俺に預けて、ぼんやりと景色をながめる。
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