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眠りから意識が浮上していく途中で、すぐ近くから聞こえる呼吸音が耳に響いた。
ここ数年ですっかり慣れ親しんだ寝息に、口角があがる。
無意識に抱き締めていた腕に力を入れれば、腕枕をされていた腕が巻き付いてくる。
目覚めたのかと息を潜めてうかがえば、相変わらず規則正しいリズムで寝息をきざむ篠田。
なんだか、ひどく幸せな気持ちになって、その広い胸元に顔をよせる。
冬だというのに汗ばんだ胸から、体臭とはまた違う甘い臭いがしてクラリと目眩がした。
男っぽいのに、どこか花のように甘い香り。
いい臭いとはお世辞にもいえないのに、深く吸い込むと脳がしびれて、深く落ち着く。
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