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どちらかといえば、病院は苦手だが。
篠田の様子を見ていると、早くすませて安心させてやりたくて。
最後の1週間は、俺も残りの日数を指折り数える心境になった。
「そしたら、終わったら外で飯でも食おうぜ。
俺、久々に肉食べたい。」
ここ数日の身体にいい食事とやらで控えられていた好物をねだってみる。
篠田の膝の間に座らされた状態で、上を見上げて笑ってみると、1拍の間を開けて苦笑いで返された。
「わかった。
異常がなかったら、なんでも腹一杯食わしてやる。」
「やった!
なら焼肉いこうぜ。」
昼間の焼肉とビールを勝ち取って、上機嫌になった俺を見て、篠田が今度こそ本当に笑った。
ずっと、そうやって笑ってたらいいのに。
篠田の笑顔が嬉しくて、もっと近づきたくなる。
下から伸びをしてキスをせがむと、嬉しそうに頬を緩ませた篠田が近づいてきて柔らかな口づけを贈られた。
軽く合わさった唇が、遠のく。はなれていく体温を感じて、何気なく向けた目線を篠田の真剣な眼差しに捕らえられた。
気がついたら、またキスをしていた。
無意識に小さく開けた唇から、差し込まれてきた舌先を受け止めると、伸びてきた手のひらに輪郭を包まれて頭ごと捕らわれる。
だんだんと深さを増していく口づけに、慌てて篠田の背中をたたいた。
俺の反応に、篠田はハッとしたように身体を起こすと、そのままソファーにドサリと体重をかけて沈みこんだ。
「ワリィ。」
なにやら落ち込んでいる篠田の頭を立ち上がりながら、ポンポンと音をならして叩く。
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