1806人が本棚に入れています
本棚に追加
跡を残さない自信がないからといって、1週間ほどの禁欲生活を宣言した篠田は、ここのところ言葉どおり口づけ以上には手をだしてこなかったのだが。
朝方、寝ぼけて入ったスイッチの余韻か、今日はやたらとスキンシップが多い。
普段は気にならないスキンシップも。篠田にあわせて、久しぶりの精進をしていた湊には、いささか刺激が強くて。
今朝がた抱き込まれて。篠田の色につつまれた瞬間に、自分が篠田の熱に飢えていたことに気がつき、慌てた。
一度意識してしまうと、つないだ手のぬくもりにさえ反応しそうになる。
たったの1週間。
それだけで、死にそうに乾いている。
欲深すぎる自分が、恥ずかしくなる。
毎日、そばにいて。
同じベットで寝ているというのに。
正直をいえば、今は近づいてきた篠田の熱を手放したくない。
普段は、篠田に比べて淡白な分。どちらかといえば誘われる側に回りがちだが。
今日は、食事が終わった後にでも何処かに篠田を誘ってゆっくりしたいなと頭の中で計画する。
お昼は篠田の奢りだから、夕飯と宿代は俺が出して、、、と、考えている最中にソファーで項垂れたままの篠田の後ろ姿が目に入る。
俯いているせいであらわになった、筋肉質な篠田のうなじから目が離せない。
うっかりすると、無意識に近づいて、その体温にふれてしまいそうだ。
大きな背中をまるくして、なにやら集中している姿が、愛しくも可愛らしくて。
「終わったら、速攻で連絡すっから。」
声をかけると、跳ねるように顔をあげた篠田に軽く手を振りながら、家をでた。
最初のコメントを投稿しよう!