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「はい。まだ、少しフラフラとはしますが、かなり良くなりました。」
縁のない眼鏡の奥の瞳を見かえしながら、そうかえすと、「それは、なにより。」と、ほほえまれた。
篠田と同じくらいの長身だが、細身のため威圧感はかんじない。
白衣をはおりにこやかに微笑むさまは、まさに医者といった風情だ。
一見冷たそうにも見える整った容姿も。笑うと、飄々とした目元がクシャリと縮んで、随分と愛嬌のある雰囲気になる。
「今日の結果なんですが、喜多川さんは、胃の中にポリープができてます。
悪いものではないのですが、これ、多分これから毎年検査に引っ掛かると思います。」
ベットサイドに立ったまま、検査結果を告げる医師にあわてて、向き直った。
、、、この再検査を毎年。かなり気の重くなる話に、眉が下がる。
その時、俺の表情をみた医師が、ないしょ話でもするかのごとく、身をのりだしてきて耳元で囁いた。
「で。ご相談なんですけど。
そのままにしてても平気なんですけど、良ければ取っちゃいます?」
キョトンとして見返すと、俺の返事を待ってやけにキラキラとした目で見つめられた。
「、、、取っても、いいもんなんですか?」
軽い口調に、不思議に思ってたずねると
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