万有引力

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「なぁ。 もう、起きてもいいか?」 テレビに流れるエンドロールから目線をはずして、ソファに横になった姿勢から、ずっと俺に膝枕をしたままの篠田を見上げながら問いかけた。 昼間に、篠田と合流した後。 微妙にふらつく俺を見た篠田に、有無を言わさずタクシーにおしこまれた。 あれから。看護婦さんに言われた通りに水分をとり。何度かトイレに通ったお陰で、気分もすっかり良くなった。 食欲はまだ戻らないが、不調というほどの体調でもない。 なのに。 篠田の目の前でフラついて転けそうになったせいで、いまだに起き上がる許可がおりない。 「晩飯は、もう食べれそうか?」 篠田が、俺の額に手をおいて熱を計りながら見下ろしてきた。 、、、熱はないはずだが、篠田の目には、よほど弱ってみえるらしい。 腹はすいていないが、なにか口に入れなければ篠田が納得せずに、いつまでもこの格好のままだろうと、頷く。 帰ってくるなり、寝室に寝かされそうになったのを、平気だからリビングに居ると駄々をこねて、やっと納得させた。 篠田と出掛けるはずだった休日なのに。 一人で一日中ベットの中だなんて、残念すぎる。
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