万有引力

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元々、綺麗だとか、可愛いとかいう形容詞にはほど遠い容姿だと、自分でも思う。 本当に不思議なのだが、篠田は俺のどこを見て、あんな顔をするのか。 若いならまだしも。 30を越えてそれなりにふけた俺を見て、付き合いはじめとかわらず、いまだに可愛くて堪らないとでもいいたげな顔をし続ける篠田の美的感覚はかなりズレているに違いない。 食後のお茶を飲みながら、豪快に鍋を空けていく篠田を眺める。 時おり不思議そうに此方をみるが、何でもないからと笑うと嬉しそうに笑い返して、また箸を進める。 ガッツいているわけでもないのに、面白いほどあっという間に鍋を空にして、ごちそうさまでしたと手をあわせる篠田と同じく礼をして。 片付けくらいはさせてくれと見上げると、渋々座り直してソワソワと落ち着かないようすで此方を伺う篠田に耐えきれずに吹き出した。 「暇なんだったら、風呂にでも入ってくれば?」 笑いをかみ殺しながら提案すれば、一緒に入るかと提案されて。 「いいけど。 来週手術なんだけど、、、いいのか?」 首を傾げながらかえせば、数秒の沈黙のあと黙って席を立つ姿に、また笑いが込み上げる。
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