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「俺んとこには、連絡きて、ない。」
いつの間にかカラカラになった喉から、絞り出すようにして、やっと声をだした。
電話の向こうで話し声がした後、篠田が入院したという病院名が告げられた。
ダンクの途中でガードされて、体制を崩して倒れた方向に運悪く別のチームメイトがいた。
避けようとした篠田が、空中で無理な体勢で身体を捻って避けて、叩きつけられた地面に頭を強打して意識不明で運ばれたらしい。
「お前のとこに連絡がないってことは、まだ意識が戻ってねぇんだな、、、」
俺と篠田が同居していることを知っている友人が、ちからなく呟いた声が遠くに聞こえた。
電話を切った瞬間に家を飛び出して、篠田が入院したという病院にむかう。
全身が心臓にでもなったかのように、不安で早鐘のようになる心音が聞こえる。
無意識に震える指先が目に入り、ギュッと両手で握り混んで、震えを押さえつけた。
静まりかえった病院のなかで、唯一灯りが灯ったナースセンターで篠田の病室を確認すると、すぐ目の前の扉をしめされた。
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