1806人が本棚に入れています
本棚に追加
ニッコリと笑われて、腹の底から息をはいた。
「、、、ありがとうございます。」
やっと言えた言葉は震えていて、それ以上、言葉がでてこない。
篠田の状況さえわからなくて、不安で仕方なかった。
昏睡状態なのは心配だが、それ以外に悪い所はないと聞いて力が抜ける。
震える手のなかで、小さく音をたて続けるカップを、隣に座ったタクミがユックリと取り上げて、机にもどした。
「え~。やだなぁ。そんなに、僕とゆっくりできるのが嬉しいだなんて、光栄だなぁ。」
頭をかきながら、嬉しそうに。大きな身体をちぢませて下からのぞきこみながらかえされて思わず小さく笑った。
その顔をマジマジと見つめられたかと思うと、タクミが急に両手を上にあげながら距離をあけて座り直した。
「、、、、残念だなぁ。」
やけに情けない声でかえされて、不思議に思って、首をかしげる。
「ねぇ、湊くん。それって、わざとじゃないよね?」
「何がですか?」
眉を八の字にしたままタクミにたずねられて、意味がわからなくて問い返した。
「あ~。やっぱり?」
俺の問いに、意味不明にかえされて眉がよった。
目の前のタクミは、なにやら唸りながらガリガリと頭をかいている。
最初のコメントを投稿しよう!