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やがて、なにかを観念したかのようにため息をつくと、急に俺の両手を挟み込んで握り締められる。
身長は同じくらいなのに、篠田の節だったゴツゴツした指とはちがう、節のない綺麗な指先に無意識に違うと思う。
それに知り合いとはいえ。大の男に、いきなり両手をつつまれて、若干引いた。
それでも、現在進行形で恩をうけているタクミにたいして失礼かと、後ろに引きそうな身体を根性で引き留めた。
「僕、結構わかりやすくアプローチしてたんですけど、気づかれてないですよね?」
かなり近くによられながら、首をかしげつつ見つめられて、冷や汗が背中を伝った。
、、、アプローチ?
一瞬、意味が分からなかったが。繋がれた手と、真剣なタクミの目を見れば意味は明らかだ。
やけに親切だし、コンタクトも多い人だとは思ったが。医者と患者だし、何より男同士だ。
疑問に思うようなことは、この1週間の間に何度かあったが。
ただ単に、タクミが人懐っこい性格なのだろうと、深く考えずに流していた。
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