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どう反応してよいのか分からず、固まったまま。タクミの真剣な眼差しを見返した。
予想外の出来事に、額にジットリと脂汗がうかんだ。
動かない身体とは別に頭の中はバタバタと騒がしく、思考がさだまらない。
そのまま、かなり長い時間、見つめあっていた気がする。
「、、、もしかして、困ってます?」
固まったままだった視線をフッと下に落とされて、はりつめていた空気がゆるんだ。
「あのっ、すいません!
俺、全然分かってなくてっ。」
やっと身体が動くようになった俺が、勢いこんで謝罪を口にしようと開けた唇を。大きな手のひらに塞がれて言葉が途中で消えた。
「それって、断り文句ですよね。
、、、だったら、聞きません。」
大きな手のひらの中で、モゴモゴと消された言葉にかぶさるようにかえされて、二の句がつなげない。
それでも、なんとか断ろうと再度口を開く。
塞がれた手のひらに唇が触れた瞬間に、火傷でもしたかのような勢いで、手を引かれた。
「あのっ、気がつかれてなかったんですよね?
そしたら、一度でいいんで、そういう目で僕を見てください。
、、、できれば、返事はそれからにしていただけると、嬉しいです。」
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