万有引力

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「、、、女相手じゃねぇんだから。」 怒りよりも、沸き上がってきた疲れで頭痛がする。 思わず敬語もとれて、素でかえしてしまった。 「男相手だってことは、ちゃんと分かってますよ? ただ、可愛いなぁと思ってるだけです。」 心外だとでもいわんばかりに胸をはる姿に、ますます頭痛がました。 「テレたりとかは、ないんですねぇ。」 つまらなそうに呟かれて、やっと怒りがわいてきた。 「男にデコチューされたぐらいで照れたりしないです。」 キッとにらみ返すが、それをうけたタクミは何故か嬉しげだ。 「僕の親切は、下心つきですから。 気にされているようでしたので、お礼をいただきました。」 さらにニコリと笑われて、 思わず眉がよる。 「許可してねぇし。」 ムッとしながら返すと、タクミはこちらが呆れるほど上機嫌になった。 なんと言いかえそうかと思っていると、 「あまり二人でいると、先払いで色々と頂きたくなりますねぇ。」 しみじみと呟かれて、思わず背筋に寒気が走った。 「これ以上は、無しですっ!」 そういい放つと、タクミの目の前でバタンと玄関の扉をしめた。 玄関前に横付けされていたタクシーに乗り込んでから、ふと振り返ると、ガラス越しにタクミが 笑顔で手を振っていた。
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