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「次回からはちゃんと夕食を持参しますから、気にされなくて大丈夫です。」
目の前で大きく手を振りながら、咄嗟に断る。なのに、目の前のタクミは気にした風もなく、笑いながら首を横にふった。
「駄目です。
このままだと、病人が二名に増えちゃいますからね。
医者として、そんなことは断固阻止しますよ。
それに、僕。いつも一人でご飯を食べてるので、誰かと一緒に食べれるのって、凄く嬉しいんです。」
邪気なく、他に他意などありませんという顔をされて笑われるが、告白を断ったのは昨日の今日だ。
ここで頷いて、よけいな期待をさせるわけにはいかない。
「俺が篠田の側に着いててやりたいんで。
タクミ先生のお気持ちは嬉しいですけど、一緒に食事にはいけません。」
なるべくキッパリと。未練をのこされないようにとタクミの目を見ながら断る。
なのに、一瞬。大きく目を見張ったかと思うと、タクミがその場で爆笑しだした。
意味が分からずに、呆気にとられて椅子から転げおちそうになりながら笑うタクミをながめる。
ひとしきり笑ったあと、目尻に涙を浮かべたままギュウッと抱き締められた。
「や~。もぅ。湊君ってば、最高!」
まだ笑いの余韻を残した声で、座っていた椅子ごとギュウギュウと抱き締められる。
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