1805人が本棚に入れています
本棚に追加
/350ページ
漆黒の闇の中で、篠田の指で鎖骨からわき腹にかけて、じらすようにユックリと撫で下ろされたのを感じた。
平素から、湊より体温の高い篠田の手は暖かく。
その手で頬を触られると、余分な力が抜けてウットリとしてしまう。
その姿を覗きこんできた篠田に、まるで猫のようだと笑われるのが常だった。
けれども、今までは篠田が湊に触れるとき、友人の域をこえることは決してなかった。
いつも隣にいて。当たり前のように触れられても、その手は力強く優しくて。
一人っ子の湊は、自分に兄貴がいたらこんな感じなのかなと、篠田に触れられるたびに、よく思った。
なのに、今。
この指は、明確な情欲の意図を持って湊に触れ、肌を撫でどうしようもなく欲情を高めていく。
暗闇の中で姿は見えないが、篠田の放つ熱量につつまれて、湊の身体もしだいに体温をあげていった。
「フッ、、」
ふいに、首筋から耳たぶまでをなめあげられ、そのやわらかな刺激に湊の背をゾクリと甘いしびれが走り思わず声がもれた。
「、、、舐められるのが、良いのか?」
クスッと耳許で笑う声がして、揶揄する声がかすれていて色をのせて響き、湊の頬が赤く染まる。
否定の言葉を放とうとした瞬間、耳たぶを軽く噛まれ篠田の舌が耳のなかに差し込まれてきた。
思わずすくました身体を抱き締められて、その腕の熱さに震える。
妙になまなましく、濡れた音が耳の中で響いた。鼓膜を通して聞こえてくる卑猥な濡れた音に、脳が痺れて息をもれた。
執拗に。煽るようにピチャッピチャッと響く水音に、羞恥がつのる。
それと共に下腹部がおもくなり、なんともいえないうずきがうまれた。
その間にも、うなじをゆっくりと舐めあげながら、篠田の両手はせわしなく湊の身体の上を撫でさする。
最初のコメントを投稿しよう!