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力なく発した懇願の声は、ほとんど呟きのようだった。
それを聞いて悲しそうに篠田は笑った後、伏せた眼差しのまま、湊に口づけた。
それは、この場にそぐわぬ優しいキスで。
驚きに弾かれたように顔をあげ、思わず篠田をじっと見つめた。
「、、、好きだ。」
湊の眼差しを今度は正面から受け止めて、罪人が断罪するかのごとく篠田がポツリと呟くと、泣きそうな顔で微笑んだ。
「ごめんな、湊、、、」
そういった篠田の手にはナイフが光り。
そのまま、ユックリとした動作で湊の履いていたズボンと下着を切り裂いた。
あまりのことに。呆然として動けないままの湊に、篠田はまたキスをした。
そのキスに湊が違和感を感じた瞬間、篠田の指が湊の顎を固定する。
「なっ?!」
衝動的に身を引こうとした口内に、トロリとした液体が流れこんできた。
咄嗟に吐き出そうとしたが、顎に添えられた篠田の手がそれを許さない。
もがく内に飲み込んだ液体は甘苦く、胃の奥からしびれるようなあまだるい感覚を身体中に広がっていく。
口許からこぼれた液体を拭った、濡れた手が肌をすべる。
その感触は、敏感になった身体をさらにあおり高めていく。
キュポンとコルクと瓶の滑る音がして、あわてて篠田をみると、新しい小瓶をあけて、中身を片手に落としていた。
「癖になるようなものじゃないから、安心しろ。」
どこか壊れたような笑顔を浮かべながら、手に落とした液体を開かれた胸元に丁寧に塗りつける。
ヌルリとした生暖かい感触に、鳥肌がたつ。
液体を塗られたところは、だんだんと熱くなり、むず痒いような、ジリジリとした感覚が広がっていった。
「なっ!
これ、なんだよっ!?」
身体中に塗られた液体のせいで、無意識に
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