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ドサリと音をたてて運転席に座り込んだ。
今しがたの出来事に対処できず、混乱する。
キスされたのだろうか。
新堂に?
上手く隠していたつもりだったが、自分の気持ちがバレていたのか?
それとも頭を打ったのが思いの外、重症で誰かと間違えたか?
ただ一人。答えをしる新堂は夢のなかだ。
気をとりなおして、ジムの提携医師に電話をかける。
ほとんど深夜だが、彼なら診てくれるだろう。
繋がった相手に手短に新堂の症状を伝えると、直ぐに医院に来るようにいわれる。
医師に新堂を引き渡すと、病院の待合室においてあるベンチに座り込んだ。
今になって、ドッと疲れがでてきた。
今日一番の驚きは、なんといっても新堂からのキスだが。
どうしても期待しそうになる自分を、あり得ないことだと叱責する。
新堂には、ベットサイドの写真の相手がいる。
なにより男同士だ。
と、そこで喜多川達の顔が浮かんで、又しても頭をふる。
「原西くん。」
考えにふけていた時に、急に声をかけられて慌てて顔をあげた。
「今できる検査は一通りしてみたけど、異常は見つからなかったよ。
ただ打った場所が頭だからね。
念のため、新堂君はこのまま泊めるから。君はもう帰って休みなさい。」
柔らかくそうさとされて、頷いた。
そのまま部屋にかえる気にならず、ジムに戻って仮眠室で眠りについた。
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