原西と社長

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翌日、目が覚めた俺は真っ直ぐに社長室に向かった。 新堂と距離をとっていた分、社長室の所々とした事務がたまっていた。 休みのうちに片付けて、明日からはまた以前どおりに戻れるように準備する。 思っていたより貯まっていた仕事が漸く片付いたのは昼過ぎだった。 「腹へったな、、、」 グーと、なった腹の虫に呟くと 「なら、お昼でも食べに行く?」 後ろから新堂の声がきこえた。 「休日出勤してる勤勉な君には、僕がごちそうしてあげるよ?」 そういって俺の隣に座り込んだ。 「昨日はありがとう。お陰で、サボってた健康診断まで終わらせてきたよ。健康そのもの。問題ないってさ。」 イタズラっ子のような顔をして、新堂が笑った。 話された内容にホッとしていると、さらに一歩、新堂がちかずいてきた。 気まずいほどの距離に、思わず後ずさる。 「で、原西くんは、僕になにかいうことがあるんじゃないかな?」 かなりの至近距離で詰め寄られて、背中から汗が吹き出る。 「え?」 なんと返してよいか解らずいいよどむと、目を細めてじっと見つめられた。 内心あせりながら見つめていると、ゆっくりと更に距離を縮められて尻餅をついた。 その膝の間にわってはいり、逃げられなくなった俺に、新堂がキスを落とした。 「昨日のコレの意味。聞かないの?」 突然のキスと、近すぎる距離に混乱して言葉がでない。 だまっていると、新堂の顔が近づいてきて、先ほどよりも深いキスをまたされる。 「嫌?」 可愛らしく首をかしげられて、おもわずブンブンと頭を横にふる。 すると、目の前で綺麗な笑顔で微笑まれ見とれる。 「良かった。」 吐息とともに囁かれて、ゾクリと背中がなった。 生唾をのみこむ音が室内に響く。 「君のこと、好きなんだけど。」 耳許で囁かれる内容が、理解できない。 瞬きしながら見つめていると、ペロッと唇を舐めて、そのまままた口づけされた。 扇情的な光景に、頭がついていかない。 「返事をくれないと、このまま襲っちゃうけど? パワハラ、いや、セクハラになっちゃうね。」
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