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「僕のこと、嫌い?」
また首をかしげられ、頭を横にふる。
驚きすぎて馬鹿みたいな反応しか返せない。
ふとみた新堂の瞳が不安げに揺れていて、思わず抱き寄せた。
「嫌いなわけないでしょ。
好きです。
ものすごく。」
返した言葉に、嬉しげに笑われてジンワリと胸に暖かいものがひろがる。
本当に?
新堂が自分のことを?
今だ信じられないが、胸に感じる暖かさと、新堂の甘い匂いは腕の中だ。
「アンタが好きです。アンタが望むことなら、なんでも叶えてやりたい。」
力を込めて抱き締めると、しなるように身体にそってお互いにピッタリと密着した。
「良かった。
一生いわない気かと思ったよ。」
深く安堵を込めたよく響く声が耳許でここちよく響く。
「要。
あんたじゃなくて、名前で呼んで。」
ねだられた内容に頬がゆるむ。
「要が好きです。
要を喜ばしたいのに、俺を喜ばせてどうするんですか。」
名をよぶと、ウッスラと頬を蒸気させて目を伏せられた。
その姿は可愛いのに、とても綺麗で。
逃がさないように。
抱き締める腕に力を込める。
何かを思い付いたらしい要が顔をあげた。
思わずのぞきこんで「ん?」と、いいよどむ要に先を催促した。
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