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「なら、おんぶがいい。」
そういうと、赤い顔を更に色濃く染めながら横をむいた。
「なに?」
聞き取った内容が信じられず、思わず聞き返す。
「だから、おんぶ。
前に喜多川君が寝ちゃった時におんぶしてたでしょう?
あれ、ずっと羨ましかったの。」
こちらを見もせずに言いはなつ要に、思わず口づけた。
「そんなんでいいなら、いくらでも。」
一瞬、驚いた顔をするが直ぐに嬉しそうな顔で要が笑う。
やっぱり、可愛いよりは綺麗なんだけどなと頭の片隅で一人呟く。
膝の間に座り込んでいた要を、抱き上げる。
「あぁ、でも、子供にはおんぶですけど、恋人には抱っこでしょう?
俺はアンタの顔がみたいです。」
そういって抱きついた俺に、腕を巻き付けてきた要の力を借りて一気にたちあがる。
不安定な体勢に、要の足が腰に巻き付いてくる。
密着した下腹部に、要の熱い塊を感じて安堵する。
自分の中に沸き上がる欲望の色は、もう隠せてないはずだ。
要にも同じ様に火が灯っていることが、とてつもなく嬉しい。
「、、、この格好で家まで帰る気?」
呆れたように返されて、思わず笑いがでる。
「別に構いませんけど。
他の奴がこんな格好であるいてたら、俺なら石でもなげますね。」
要を抱き締めたまま肩を竦めると、細く目をすがめて見つめられた。
「なんだか、性格が違わない?」
「要ほどじゃないです。」
そう応えると、悔しそうな顔をして下唇を軽く噛んだ。
その唇に、そっと触れる。
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