第1章

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昼休みを告げるチャイムが鳴ると、俺はパンと飲み物の入ったビニール袋を持ち、すぐに篠原の席に向かった。 篠原は俺を見ると立ち上がり、「行こうか」と言った。 どこに、と問う前に篠原が歩き出したので、慌ててそれについていく。 賑やかなクラスメイトをすり抜け、教室の外に出る。 何か話そうと思うも話題が思いつかず、俺はただ篠原の斜め後ろを歩いていた。 牧が相手ならくだらない話をするが、篠原が相手だと不思議と何も思い浮かばない。 自分とタイプが違うから興味を抱くのだろうか、と俺はぼんやりと考えた。 ふと篠原を見ると、少し長めの襟足がぴょこんとはねていて、歩く度にそれが小さく揺れている。 それがなんだか面白くて、俺はちらちらと何度も目を向けた。 ひょっとして寝癖だろうか。きっちりと制服を着こなしているというのに、少し意外だ。 優等生である篠原の隙を見つけられたような気がして、思わずクスリと笑みをこぼした。 廊下を抜け、靴を履き替え、辿り着いたのは中庭だった。 少々風があるが、日差しが温かく心地よい。 中庭に来る機会のない俺は、現れる植物の数々に少し驚いた。 うちの高校にはこんなにたくさんの花が咲いていたのかと感心する。 ほとんど人のいない中庭を突き進むと、木製のベンチが見えてくる。篠原はそのベンチの端に座った。 少し迷った後に、少しスペースを空けて俺もその隣に座った。
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