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「はい、じゃあ隣の人と二人組を作って。お互いにこのページから好きな詩を選んで朗読してください」
月曜日、いつもの気怠い授業時間。
教師の言葉に、何人かが不満そうな声を漏らした。
確かにこれは面倒かも、と思いながらも俺はゆっくりと手を挙げる。
「せんせー、俺の隣休みなんですけど」
「あら、本当ね。じゃあ、相島くんは……」
俺は頬杖をつきながら、何やら考えている教師から視線を外す。
そして、思わず固まった。
目が合ったのだ。
窓際の一番前。眼鏡をかけたクラスメイト――篠原が、真っ直ぐにこちらを見据えていた。
ただ注目されているだけなのに、その視線に射抜かれるようでぎくしゃくしてしまう。
「あ、篠原くんの隣もお休みね。じゃあ、二人でペアになってちょうだい」
俺は慌てて教師へと視線を戻した。
嘘だろ、と心の中で呟く。
まさか無口で有名なあの篠原と組むことになるなんて。
組んだ相手が友人なら、朗読なんて放っておいて世間話でもしたのに。
真面目くんが相手じゃ、それは出来ないだろう。
俺はこっそりため息を吐いた。
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