第1章

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午後の授業中、俺の集中力は散々だった。 気が付けば、一番前の席に座る篠原を見てしまう。 あの頭にはどんな考えが詰まってるんだろう、なんて思っている間に教師に注意されてしまった。 ダメだ、ダメだ。 そりゃあ授業に関して真面目な方ではないが、どうにも調子が狂ってしまう。 自分が自分でないような、そんな居心地の悪さだ。 そういうわけで、下校時間が訪れた時は本当にホッとした。 早く帰ってベッドに寝転がっていれば、この妙な気持ちも治まるだろう。 「相島ー、帰りにバーガー食べようぜ。俺、腹減っちゃってさぁ」 帰ろうとした矢先に、牧が腹をさすりながらやって来る。 普段なら、なんだかんだ言いながら一緒に行くのだが、今日は話が別だ。 「わりぃ、今日は帰る」 「そっかー、了解」 鞄を掴んでその場を去ろうとすると、「あ」と牧の声が聞こえた。 振り向くと、牧は頬をかきながら眉を下げて笑みを浮かべている。 それから少し躊躇ってから、牧は口を開いた。 「あのさ、もし悩みがあるなら、いつでも相談しろよ? 俺じゃ頼りなく見えるかもしれないけどさ」 そう言った牧を見て、俺は呆気にとられた後にクスリと笑う。 俺の様子がおかしいことなんて、牧にはお見通しだったのだろう。 「サンキュー、牧」 「……おう!」 牧はニッと笑ってから、俺に向かって大きく手を振る。 普段は少しうるさいくらい明るいが、牧は優しい奴だ。 心の中で感謝しながら、俺は帰り道を駆け出した。
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