近寄らないで

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「まあ、ここではあれなんで。支払いはいいから、ふたりとも事務所に来ない?」  いきなりフランク過ぎる外見紳士なオーナーの申し出に、ヒロトの眉がピクッと反応した。 「時間ならありますよ。な、サク」 「……ま、まあ……」  乗り気しない。  いきなり言われても……しかもチカのいるカフェだし。  オレの心臓が持たないかも。  まあ、バイト探し中ですぐにでも働きたいのは、覆しようのない事実だけれど。 「コーヒーブレイクが済んだらで構わないから。スタッフには伝えておくから、声かけて」  ……あ。 「室井(むろい)さん」  チカが、きた。  奥の事務所から出てきた途端、目を剥いてすっ飛んできた。  どくん、と鼓動が跳ねる。
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