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「室井さん、なにしてるんですか。俺、あれほど頼んだのに」
オーナーにつかみかからんばかりの勢いで、その隣に片膝をつく。
ヒロト側にいるのに、フワッと香るチカの匂い。
ヒロト側にいるからこそ、顔がこっちを向いているのでハッキリと見える。
焦った顔。
テンパりそう。
「前野くん、私は『わかった』とはひとことも言ってないよ」
わ、性格わる。
ヒロトみたい。
「さっきも言ったじゃないですか、サ……彼らは大学生なんですよ。室井さんが欲しいのはフリーターだって俺知ってます。試験や帰省に左右される人材より、真面目にフルで働ける人材が欲しいっていつも言ってますよね? 大学生なんてそのうち就活に入ったらこぞって辞めちゃうじゃないですか。そんな責任感が中途半端な学生を雇っても」
「ハイ、前野くんイエローカードね」
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