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たったひとことで、オーナーはあっさりテンパり暴走チカを止めてしまった。
オーナーの手腕も去ることながら、チカってやっぱり職場でもやっちゃうんだ、という痛さにオレが打ちのめされる。
オレだけが知っているチカなんて、たぶん一生現れない。
地味にへこむ。
「いくらなんでも言い過ぎだよ、前野くん」
ニッコリしたまま言うからかなりの恐ろしさだ。
それでもチカは、素直に引き下がろうとはしなかった。
「申し訳ありません、でも」
「心にもないこと一生懸命口走っちゃうくらい、彼のことが嫌いなのかな、前野くんは」
ギュッ、とオレの内側を締めつける音がした。
チカの顔を見ていられなくなって、目線をテーブルへと下げる。
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