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彼、とオーナーは言った。
チカの言葉の対象はオレひとりなのだと、はっきり理解しているような口振りで。
……オレ、そんなに迷惑?
チカはそんなに、オレにそばにいてほしくないのかよ。
「……そ、そういうわけじゃありません」
小さくチカが答えた。
なに、その消え入りそうな声。
説得力ゼロじゃん。
「あ、彼、やりますよ」
気まずい空気を投げ飛ばすほどに明るい声が、唐突にそう宣言した。
ヒロトだ。
思わず耳を疑って顔をあげると、やつは例のキラー光線スマイルを発動させた。
オーナーと、それからチカに向けて。
「ちょうどバイト探してるところだったんですよ、彼。しかも接客得意だからもってこいだと思います」
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