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「ボクのこと聴いたんだろ、チカから」
ドアの手前で立ち止まり、振り返らないままで星児さんがぽつりと口を開く。
ズキン、と痛みが走った。
「……うん」
まだ少し信じられずにいたけれど、いまこの瞬間に、ようやくストンと落ちる。
「おまえが居づらさ感じるのわかってるけど、ボクは辞めないから、仕事。公私混同はしない」
ハッキリと淀みなくそう言って、オレを振り返った。
真摯なまなざしにかち合ったのは、ほんの一瞬。
すぐにいつもの蔑んだような目に戻ると、彼はフッと笑った。
「ま、その点では結城も同じだな。チカとあんな状態になっても一度もサボることなかったし。偉かったんじゃない?」
「バカにすんなよ。当たり前じゃん」
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