第1章

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「佐倉と龍一の勝負見に行くだろ?」 「勝てる訳ねぇだろ。龍一に。」 「龍一、なんでそんな勝負受けてんのかな?」 運動着に着替えた二人が並ぶ。 竹中の合図で走りだす。 「速い…。」 二人の速さは、互角。 だが、 一方リードしたのは、やはり龍一のほうだった。 「やっぱり 無理ね…」 「おまえ 速過ぎ…」 全力疾走し、息を整えながら、座り込む。 どこからか拍手の音が聞こえ、 廻りも一緒に拍手しだした。 「由紀…」 「あら、来たのね。」 「父さん」 「病み上がりに…」 「やっぱり 若い頃とは違うわね。」 「全く…」 「理事長。」 「竹中先生。保健室お借りします。」 男は、佐倉を抱きかかえて 龍一に、おまえも来いと目を向ける。
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