3 失われた記憶

13/29
前へ
/39ページ
次へ
 そのときはただ単に、何か住み込みのバイトだとでも思われてるのかなと思い、 「いえ。オレは、週に2回だけ通わせてもらってるんです」  何げなくそう答えた。すると、有村さんは意外な言葉を口にした。 「そうなの? 私はてっきり、北城くんが、あなたと暮らすためにここを借りたのかと思ったんだけど」 「えっ? それ……どういうことですか?」 「北城くんって、年の割に老成してるっていうか……初めて会ったときなんか、まだ高校生だったのに、もうその頃から、自分が何歳になったらああしてこうしてっていうのを、具体的に決めてたみたいなのよね。今どきの若い子で、そこまで考えてるのって珍しいじゃない? だから、彼にいろいろ聞いてみたことがあるの」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加