3 失われた記憶

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「え。慧──いえ、北城って、高校生の頃から、もうそういう業界で働いてたんですか?」 「そこの社長も、はじめは高校生のバイトなんか採用する気はなかったみたいなんだけど。持ち込んだデザインが素晴らしかったのと、彼の熱意に負けて……ってことらしいわね」  その頃の慧の姿を思い出したように、有村さんは微笑んだ。 「で、私が、どうしてそんなに計画的なのって聞いてみたら……彼、近い将来やらなくてはいけないことがあるから、そのために、まずは生活基盤をしっかり整えておきたいと言ったの。とても、高校生のセリフとは思えないわよね」   やらなくてはいけないこと──それは、餓鬼や悪鬼と戦うことだ。
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